パリの交通システム「velib'(ヴェリブ)」が導入されてから、この夏で2年になった。これはパリ市が手がけるセルフレンタル自転車システム。
パリ市内で急速に増える自転車「ヴェリブ」
市内のいたるところに設けられたステーションに配置された自転車を、市民や旅行者が気軽に利用できるというもので、1日で1ユーロ(約132円)、年間29ユーロ(約3800円)という加入料を払えば、30分以内の利用ならそれ以上の費用はかからず、何回利用してもいい。
2007年7月のスタートから台数はどんどん増え続け、現在その数2万6000台。ほぼ300メートル間隔で設けられているステーションは1451カ所。
テリトリーは、東京の山手線の内側ほどの大きさのパリ市内だけでなく、周辺の町にも拡大しつつあって、郊外に住んでパリで仕事をするという人々の便宜にもこたえられるようになってきている。
システムの開始早々の1週間ほど、私も試してみたが、その頃は、今に比べるとステーションの数が少なく、準備も整っていなかったせいだろう。
自転車をピックアップしたはいいが、目的地のステーションが機能していなかったり、自転車を固定するためのポールに空きがなかったりして、別のステーションを探すためにさらに走るはめになったりと、残念ながら良い印象がない。
しかも、こちらの道路交通法にのっとるならば、自転車も車同様に車道を走らなくてはならないから、ちょっとしたスリルも経験し、それ以来、全く利用していない。
そんな個人的な経験は別として、周囲の状況を見る限り、ヴェリブは確実にこの町に浸透しつつある。
17万人が年間パスを購入し、利用者の94%が満足
まるで迷路のように張り巡らされたいじわるな一方通行網、路上駐車スペースの極端な減少など、パリ市が採っている明らかな車締め出しムードにイライラさせられるドライバーとは対照的に、ぱりっとしたスーツ姿のビジネスマンたちがすいすいとヴェリブを乗りこなしている風景は、すっかり日常のことになった。