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(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 新型コロナに起因する自粛の影響によって、雇用が危機的状況にあることがわかりました。総務省統計局労働力調査(基本集計) 2020年4月分によれば、就業者数は6628万人。前年同月比80万人の減少、雇用者数は5923万人(前年同月比36万人減少)。完全失業者数は189万人で3か月連続の増加です。何らかの対応が求められる状態であることは間違いありません。

 このままでは、会社の存続が危うくなりますから、かなり強引なリストラ策を遂行せざるを得なくなります。労働者は日頃からどのように備えておくべきでしょうか。

自分にとってよい材料は退職前に収集

 会社の業績が悪化し、人員整理をしなければならなくなった。その時に、あなたが解雇の対象となったらどうすればよいのでしょうか。

 その方針に納得できない場合は、「解雇は無効」と主張するか、精神的苦痛を被ったとして慰謝料を請求するといった対応が考えられます。

 いずれにしても、雇用状況に不安を抱えていて、もしかしたらこれから会社と争う可能性があると思うのであれば、その場合に備えて、「証拠」を集めておきましょう。とくに、訴訟に移行した場合、「これが事実なら気の毒だ」と裁判官に思わせるストーリーが大切です。ストーリーを立証するには構成する「証拠」が必要になるのです。

 会社都合による整理解雇が認められるためには、4つの条件があります。その中には、「解雇対象者選定の合理性」や「手続きの妥当性」というものがあります。逆に言えば、あなたに対する解雇が、これらの条件に当てはまらないという証拠を事前に抑えておけば、その後、会社と争うことになっても有利な立場を取ることができるのです。