左派支持層が「生活の質」「経済的な安定」を求めて右派へ
Z世代の不満は、単純な「反福祉」ではない。彼らは高い税金を払うことに反対しているのではなく、「高い税金を払っているのに、それに見合うサービスが受けられていない」という、いわば“契約不履行”に対する不満を募らせているのだ。
政治的には、かつては左派を支持していた層が、現在は「生活の質」や「経済的な安定」を求めて右派へと転じる現象が起きている。
先日、銀行へ出向いた際、成人学校の日本語クラスで学んでいた女性と会った。成人学校とは、日本で言うと、語学や陶芸、ダンスなどが学べるいわゆる「カルチャースクール」に近い。同じ市内の学校なので、近所で生徒に顔を合わせる機会は多い。27歳の彼女と銀行のロビーに座って少し話した。
「今年は選挙だねー。どこに入れるの?」単刀直入に聞いてみた。
「10代の頃は左派だったけど、卒業してからは選挙では右派に投票してる」
左派というのは左翼党か環境党、右派とは穏健党かキリスト教民主党だろう。
「どうして右派に変わったの?」
「私、結構わがままだから良い生活を送りたい。経済がよくなって、将来は家を持ち、子供と旅行に行けるようになりたい。お金の心配をせずに、頻繁に友人とディナーパーティーをしたい。車も持ち続けたい。だから右派に投票した」
「右派だと、生活は良くなる?」
「本当はわからない。右派の福祉制度の民営化や営利には反対だけど、左派の気候変動政策も右派の自然保護政策も好きじゃない。政治家が、外国の紛争ばかりに注目しているのも変だ。自国で解決すべき問題が山ほどあるのに。本当に投票したいと思える政党はない」
これは単純な右傾化ではなく、既存の政治的枠組みへの根本的な不信感の表れだ。
その2日後、スーパーで別の生徒に会った。彼女は30代、同じく右派支持だ。