「総体国家安全観を全面的に貫徹し、国家の安全システムを健全化し、重点分野の国家の安全能力の建設を強化する」

 2023年3月に3期目の政権を発足させた習近平主席は、国家を総合的に安全にしていくという「総体国家安全観」を、政策の一丁目一番地とした。それが、いまからちょうど2年前の全国人民代表大会以降、経済発展を優先させる方向転換を図ったが、昨年10月の「4中全会」(中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議)以降、再び「総体国家安全観」が強調されるようになった。おそらく来年秋の第21回中国共産党大会までは、この路線を継続するだろう。

「『台湾独立』の分裂勢力には断固として打撃を」

「新年にあたり、われわれは習近平強軍思想を深く貫徹し、新時代の軍事戦略方針を貫徹し、人民軍隊に対する共産党の絶対的指導を堅持し、軍事委員会主席責任制を全面的かつ深く貫徹し、政治的建軍を指針とし、政治の教育を引き続き深化させ、(2027年8月の)建軍100年の奮闘目標実現に向けた攻略戦を戦い抜かなければならない」

 1月24日、200万人民解放軍の制服組トップである張又侠中央軍事委員会副主席と、事実上のナンバー2である劉振立中央軍事委総参謀部参謀長の失脚が、国防部によって発表された。その理由について、翌日の軍機関紙『解放軍報』の社説は、「主席責任制を破壊し踏みにじった」と論じた。すなわち、「習近平主席に逆らった罪」だ。そしてこの社説は、「今後は主席責任制を貫徹していく」と結んでいた。

 今回の政府活動報告では、そのことを再確認した格好だ。

「各級政府は国防と軍隊建設を大きな力で支援し、『双擁(軍を擁護し家族を優遇する、政府・人民を擁護し人民を愛する)』活動を深く展開し、軍と政府、軍と民衆の団結を強固なものにしていかなければならない」

 今年の国防予算は、前年比7.0%アップの1兆9095億元(約43兆円)で、過去最大となる。日本の防衛費の5倍近い。

「軍民融合」は、習近平政権のスローガンの一つでもある。この路線の延長として、2月24日に日本企業20社に対して、輸出規制をかけた。

「われわれは『一国二制度』、『港人治港(香港人による香港統治)』、『澳人治澳(マカオ人によるマカオ統治)』、高度な自治という方針を揺るぎなく貫徹し、『愛国者治港』(愛国者による香港統治)、『愛国者治澳』(愛国者によるマカオ統治)の原則を実行していく」

「(習近平)新時代における台湾問題解決の総体的方略を深く貫徹し、『一つの中国』原則と『92コンセンサス』(1992年に中台が一つの中国を認めた口頭合意)を堅持し、『台湾独立』の分裂勢力に断固として打撃を与え、外部勢力の干渉に反対し、両岸関係の平和的発展を推し進め、祖国統一の大業を推進していく」

 香港とマカオについては、中国政府の「ほしいがままの管理」が定着してきている。おそらく来年7月には、マカオに続いて香港でも、中国大陸出身者が行政長官に就くだろう。

 問題は台湾である。いつどのように「台湾統一問題」に本格的に着手するのか、引き続き注視していく必要がある。

 以上である。大国だけに問題も山積だが、興味の尽きない国だ。