「雇用は安定」というが…

「この一年の経済運営は総じて平穏で、安定の中で前進した。GDPは5%成長し、総額は140兆1900億元に上った。雇用も総じて安定し、都市部の新規就業者数は1267万人で、都市部の調査失業率は平均5.2%だった。食糧生産量は7億1500万トンに達した」

 俗に「5大データ」と言われるのが、GDP(成長率)・新規就業者数・失業率・物価上昇率(CPI)・食糧生産量だが、CPIは省略した。それは、去年の目標が2.0%前後だったのに、結果は0.2%だったからだ。つまり、インフレを警戒していたら、デフレになったのである。

 また、食糧生産量はともかく、残り3つのデータは、明らかに「街の不景気感」と合わない。中国国内の経済専門家たちからも疑問の声が上がっていることを付記しておく。

開幕した中国全人代で、政府活動報告をする李強首相(写真:共同通信社)

「産業用ロボット、集積回路の生産量はそれぞれ28%、10.9%伸び、NEV(EVなどの新エネルギー車)の年産量は1600万台を超え、EVの充電所は2000万カ所を超えた」

 AI、ロボット、EV、電池などの発達は、確かに目覚ましいものがあり、日本のはるか先を行っている。だが今年に入って、NEV購入時の補助金を半減したため、中国国内での新車販売台数はガクンと下がり始めた。中国経済派ますます輸出に頼るしかない状態だ。

「国内では政策の『組み合わせ』をうまく打ち出し、マクロ政策の反周期的な調節を強化し、雇用・企業・市場・予測の安定に注力し、力を集中させて自己のことをうまくやってきた」

 これに関しては、知人の中国人経済学者が、「中国社会の最大の問題である就業をトップに持ってきたところを評価する」と言っていた。ちなみに、2023年~2026年の大学・大学院卒業生は計4829万人に上り、これは日本の首都圏の人口よりも多い。

「国際経済貿易の環境は急変している。一国主義と保護主義がむくむくと台頭し、市場の予測は頻繁に攪乱させられ、対外貿易は目に見えて圧力を受けている」

「昨年の第2四半期(4月~6月)以降、経済運営の新たな状況、特にアメリカによる追加関税の打撃を受けている」

 アメリカ批判を大きくぶちたいところだが、今月末にドナルド・トランプ大統領の訪中を控えているので、受け身的な表現に抑えている。