電化製品などの消費財、政府の補助で買い替え促進

「今年の財政の赤字率を4%前後にセットし、赤字規模を前年より2300億元(1元≒22.8円)多い5兆8900億元とする。一般公共予算の支出規模は初めて30兆元に達し、前年よりも1兆2700億元増加する。超長期特別国債を1兆3000億元発行する予定で、特別国債の発行は3000億元、地方政府の専項債の発行は4兆4000億元を予定している」

 これらを昨年と比較すると、赤字率の4%は同じ。赤字規模は、4兆元(2024年)→5兆6600億元(2025年)→5兆8900億元(2026年)と増加している。超長期特別国債の発行額は、1兆元(2024年)→1兆3000億元(2025年)→1兆3000億元(2026年)。特別国債は、3000億元(2024年)→5000億元(2025年)→3000億元(2026年)と減った。専項債(収益性のあるインフラ建設に使用)は、3兆9000億元(2024年)→4兆4000億元(2025年)→4兆4000億元(2026年)と同額だった。

 これを見ると、経済状況は悪化していても、それほど積極的な緊急財政出動は行っていない。緊縮財政派の習近平主席の意向が表れている。

「超長期国債2500億元を当てて、消費財の『以旧換新』を支援する」

「以旧換新」とは、消費を刺激するための電化製品などの買い換え運動で、新製品の5%~15%程度を政府が補助し、かつ中古品も買い取る。2024年に始まったが、政府の資金は1500億元(2024年)→3000億元(2025年)→2500億元(2026年)と推移している。1月の商務部の発表によれば、昨年は関連商品の売上額が2兆6000億元に達し、3億6000万人以上がこの制度を利用したという。

 こうした制度は収束時が問題だ。例えばNEV(EVなどの新エネルギー車)への補助額を今年1月から半減させたとたん、販売台数は激減している。そうかといって、「ドーピング」を永久に続けるわけにもいかない。

「未来エネルギー、量子科学技術、エンボディドAI(身体性を備えたAI)、ブレイン・マシン・インタフェース、6Gなどの未来産業を育成・発展させていく」

「ハイレベルの科学技術の自立自強を加速させる」

 この辺りは中国の独壇場で、経済の悪化を、こうした先端産業の育成発展で中央突破していこうとしている。「自立自強」もキーワードだ。

「DEPA(デジタル経済パートナーシップ協定)とCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への加盟プロセスを積極的に推し進める。WTO(世界貿易機関)の改革に全面的に深く関与し、開放型の世界経済を維持保護し、発展させていく」

 DEPAは2021年11月にチリ、シンガポール、ニュージーランドが発効させた世界初のデジタル貿易の協定で、2024年5月に韓国も加盟した。CPTPPは日本が中心となって12カ国が加盟した自由貿易協定で、中国は2021年9月に加盟申請しているが、日本が無視している。

 WTOはアメリカが拠出金を停止しており、このまま形骸化するか、中国主導で改革されるかだろう。自由貿易体制をアメリカが否定し、中国が主導する時代になっている。