還付に喜ぶのは中国企業?

 至極もっともな怒りが今後、さらに噴出する可能性もある。

 関税還付サービスも手がける世界的な物流テック企業フレックスポートを率いるライアン・ピーターセン最高経営責任者(CEO)に言わせれば、米国という国は、外国企業がIORとして大っぴらに活動することを認めているという意味で非常に変わっている。

 またフレックスポートが税関のデータを分析したところによれば、米国による中国からの輸入取引で中国企業がIORになっている取引の割合は、2025年4月の「解放の日」前の9%から同年末の20%に跳ね上がっている。

 このデータは、中国企業が輸入品の価値を過小評価して関税コストを下げられるようにしていることの反映だとピーターセンは話している。

 またこの状況は、消費者に打撃が及ぶのを米国政府が放置する一方で、米国市場を積極的に標的にしている多数かつ増加中の中国企業に何十億ドルものカネを今後支払うことも意味している。

 米国民は恐らく、この話に極めて悪い印象を抱くだろう。

 トランプはこれまでずっと、関税を払うのは中国企業だと言ってきた。経済的には、それが間違いだったことがほぼ明らかになっており、関税コストは国内の製造業者と消費者に転嫁されてきた。

 だが、行政手続き的に言えば、トランプの主張が正しかったように思えてくる。

政権の短所を象徴する政策の大失敗

 仮に、トランプ政権の短所を披露する政策を精密に設計しなければならないとしたら、今回のIEEPA関税はまさにうってつけだろう。

 何しろ、誤った経済学に基づいて違法な関税をかけたところ、制度設計がお粗末で執行能力も不足していたうえに、遅まきながら下された司法部門の判断を受けて不承不承撤回する羽目になり、痛めつけるはずだった人々に棚ぼた式の利益をもたらすというのだから。

 石のような冷たい心の持ち主でない限り、笑わずにはいられない話だ。

 だが、米国の消費者と有権者がジョークを理解することはないだろう。

(文中敬称略)

By Alan Beattie
 
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