県は解体工期を約20カ月と見込むが、「再生計画」は想定通り着手できれば同じ時期までに耐震補強を完了できると提案している。

耐震に関する想定スケジュール
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 建物を壊したところで、県は今のところ跡地の利用方針を示してはいない。ただ空き地にするだけなら、急いで壊す必然性はなさそうに思える。

閉館から12年経ったからこそ、再生の可能性が開かれた

 現在、再生委員会は最後の手段として県を相手に解体費用の支出差し止めを求める住民訴訟を起こしている。「解体費が不要となる代替案について十分に検討しないまま、相場より高額な解体費を支出することは違法だ」という主張だ。加えて、耐震性能を検証するために建物を保存するよう、証拠保全を申し立てている。

 一方、県は淡々と解体工事の手続きを進めている。すでに8億4700万円で工事業者と解体工事の請負契約は締結済みだ。しかし、現在(2026年2月24日)に至るまで、工事の監理業務を担う建築設計事務所は決まっていない。2026年1月と2月の2度にわたって実施した指名競争入札が、2度とも不調に終わったのだ。

 再生委員会委員長の長田氏は言う。

「支援してくれた学識者の一人から『閉館から12年間、建物が待っていてくれてよかったね』という言葉をかけられた。この間に構造解析の技術が進み、建物の力を証明する方法が確立されたからだ。そして、再生委員会を立ち上げて試行錯誤を重ねたこの1年の間に、建物は『残すべきもの』から『残せるもの』に進化した。今もまだ、そこに建っていてくれることに、可能性があると信じている」

「香川県庁舎東館」とともに「旧香川県体育館」が残り、地域の歴史を刻む建築を民間の力でビジネスに活用する先駆的な事例を示せれば、「アート県かがわ」を標榜する香川県の面目躍如、ではないだろうか。