民活提案を募集中の羽島市旧市庁舎(写真:宮沢洋、2022年6月撮影)

(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)

 一度建築ネットマガジン「BUNGA NET」に記事を書いたのだが、世の中の話題になかなかならなくて歯がゆいので、改めて書くことにした。解体が議論されている坂倉準三設計の旧羽島市庁舎(1959年竣工)が、利活用の提案を民間事業者から募集している。

 募集が公表されたのは、2022年7月7日で、提案書の受付期間は8月22日~9月30日。質問の受付は8月12日に終了してしまった。詳細は羽島市のサイト(https://www.city.hashima.lg.jp/0000015037.html)を。

 これまでの経緯や旧市庁舎内の写真などは、下記の記事を読んでほしい。この記事は、6月に私が羽島市に旧市庁舎を見学に行ったら、たまたま「民間提案の募集を検討している」という話を聞いて書いたもので、どこにも出ていないスクープ記事だった。

風前の灯の坂倉準三「羽島市庁舎」、民間提案募集が「あるかも」と聞き、勝手に提案
https://bunganet.tokyo/hashimashi/

 実際、羽島市は7月7日に募集を開始した。だが、募集条件やスケジュールに関して、ネットを調べても一般メディアでは全く報道されていない。載っているのは市のサイトと建設業界紙のみ。これでは資金力のある民間事業者が興味を持ちようもないので、本記事を書いてみた。


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※本記事に含まれている写真が配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/71348

 ポイントは下記の2点だ。

(1) 旧本庁舎を長期間(20年以上)にわたり活用するために必要となる耐震性の確保など施設の安全性を確保し、事業を継続的に実施すること。

(2) 施設改修に係る工事費用及び施設運営に係る経費等については、民間事業者の負担とすること。

 市はお金を出さないが、賃料も取らない。その代わり、耐震改修して安全に使え、ということである。これは、残念ながら解体となった「都城市民会館」(設計:菊竹清訓)のときと同じだ。