家計を直撃する、ハードウエアの構造変化

 その影響はデータセンターの枠を超え、消費者生活にも波及し始めている。スマートフォンの部材コスト(BoM)におけるメモリーの比率は、かつての10%未満から、今や最大30%に迫る勢いだ。

 デバイス1台当たりのメモリー搭載容量が拡大する中で、部材コストの急騰は最終製品の価格を押し上げる不可避な要因となっている。

 米調査会社のIDCは、2026年のスマートフォン世界出荷台数が前年比で約5%減少するとみている。スマホの販売価格高騰がその直接的な要因だという。

 旧世代のメモリーを使用する自動車や通信機器メーカーも供給枠の確保に走っている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の半導体不足が再来する懸念が現実味を帯びてきた。

展望と課題:2027年以降の安定化に向けた試練

 今後の焦点は、メモリーメーカーが現在進めている巨額設備投資が、いつ供給に反映されるかだ。

 マイクロンはニューヨーク州で1000億ドル(約16兆円)規模の新工場建設を開始したが、実効性のある増産が見込めるのは2027年以降とされる。

 当面の間、メーカー各社はAIブーム以前の古い工場をフル稼働させて急場を凌ぐ、綱渡りの供給体制を強いられる。

 エネルギー効率とコストのバランスも大きな課題となる。

 膨張し続けるインフラ投資に対し、生成AIによる収益化が期待通りに進むのか、市場の視線は厳しさを増している。

 持続可能な供給網の構築を含め、デジタル基盤が「データセンターの電力」と「半導体メモリー」という物理的制約をどう乗り越えるかが、長期的な成長を占うカギとなる。

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