さらに進化した「雪の効果」の表現

クロード・モネ《トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル》1870年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Gabriel de Carvalho / distributed by AMF

 その2シーズン後の冬に描かれた《かささぎ》では、雪の表現が格段に進化している。青みがかった白、バラ色がかった白、すみれ色がかった白。モネは様々な色調の「白」を自由自在に操り、冬という季節を巧みに表現した。気温は低いが、太陽の光が当たると意外にあたたかい。冬は一般的に厳しい季節とされるが、春を待つ楽しみもある。そうした冬がもつ多面性を、モネは見事に表したといえる。

《かささぎ》は構図もそそる。原題は「La pie」で、ずばりそのまま《かささぎ》だが、肝心の「かささぎ」はどこにいるのだろうか。その姿は画面の左中ほどに小さく描かれているだけ。しかも美しい色彩が用いられているわけではなく、黒いトーンで表されている。まるで脇役のような扱いだが、存在感は強く、この作品の主役を堂々と務めている。

 では、なぜこれほど存在感が強いのか。主な理由はコントラストの効果だろう。モネはカンヴァスの大部分を占める雪景色の「白」と「かささぎ」の「黒」のコントラストにより、その存在を強調。さらに「かささぎ」が止まっている門の周辺に強い光を当てることで、スポットライトのような効果が生まれている。こうした演出により、鑑賞者の視点は「かささぎ」へとごく自然に誘導される。