なぜ、世界がグリーンランドに殺到するのか
1. 世界有数のレアアース潜在的埋蔵地:米国にとっての脱中国の生命線
グリーンランドは世界有数のレアアース埋蔵地を持つ。
米国は軍需・ハイテク産業の基盤であるレアアースの中国依存を減らすため、グリーンランドを戦略的資源供給地として位置づけている。レアアースは、
・ミサイル誘導装置
・ステルス戦闘機
・半導体
・EV(電気自動車)モーター
などに不可欠であり、米国にとっては「戦略物資」そのものである。
2. 北極航路の開通:海洋覇権の新フロンティア
北極海の氷が溶け、
・北西航路=北米側の島々の迷路を抜ける沿岸ルート
・北方航路(NSR)=ロシア北岸をなぞる長い沿岸ルート
・中央北極航路=北極海の真ん中を突っ切る外洋ルート
が現実味を帯びてきた。グリーンランドはこれらの航路の結節点に位置し、海洋覇権の最前線となる。
そしてこの変化は、日本列島の地政学的価値を跳ね上げる。
北極海と太平洋を結ぶ動脈は、最終的に宗谷・津軽・対馬という3つの海峡に集中する可能性が高いからである。
中国にとって日本列島は、北極海時代の「海上チョークポイント」として重要性を増す。
3. 米軍の北方防衛ライン:ミサイル監視の要
グリーンランド北部には米軍のピトゥフィク宇宙基地(旧チューレ空軍基地)がある。
ここは米本土に向かうミサイル軌道を監視する最重要拠点であり、米国の核抑止体系の中核を担う。
米国にとってグリーンランドは、「北極版の不沈空母」である。
4. EUにとっての「戦略的資源フロンティア」
EUは2024年、グリーンランドの首都ヌークに事務所を開設し、レアアース・コバルト・ニッケルなどの戦略鉱物のサプライチェーン構築を進めている。
5. ロシアにとっての「北極軍事圏の西端」
ロシアは北極海沿岸に軍事基地を再整備し、北極圏での影響力を拡大している。北極海はロシアの核潜水艦運用の中心であり、グリーンランドはその西端に位置する。