登板回避の裏に「保険問題」

 その約1時間後、同じドジャーフェストの取材エリアで、デーブ・ロバーツ監督が口にした言葉は、より明確だった。「ショウヘイはWBCでは投げない。打者として出場する。完全に彼自身の判断だ」。理由として昨季のイニング数やそこに至る経緯、今季二刀流で臨むための準備を挙げ「正しい判断だと思う」とまで踏み込んだ。

昨年12月8日(現地時間)、ウインターミーティングで記者会見したドジャースのロバーツ監督は、この時すでにWBCでの大谷翔平の起用に関し「正直、自分としては投げてほしくないという気持ちはある」と話していた(写真:共同通信社)

 大谷が残した言葉の余地は、この時点で整理された。結論そのものよりも印象的だったのは、慎重な語りと断言との時間差である。同じ場所、同じ日にもかかわらず発信されたメッセージの温度は指揮官とかなり異なっていた。

 国を背負う立場で言葉を選ぶ選手と、シーズン全体を管理する球団指揮官。その立場の違いが登板回避という一点を巡って、はっきりと可視化された瞬間だった。

 登板回避という結論が先行する一方で、その背景については具体的な説明がなされていない。だが、前記したロバーツ監督の発言を受け、米メディアの間では、WBC特有の「保険問題」が現実味をもって語られ始めている。

 米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は関係者の話として、大谷がWBCで投手として登板する場合、保険の承認が下りる可能性は低かったと報じた。昨年6月にようやく復帰登板を果たしたばかりであること、さらに二刀流としてシーズンを戦う前提があることを踏まえれば、保険引受側が慎重になるのは自然な流れとも言える。