1月31日、ドジャースのファン感謝イベントで取材に応じる大谷翔平(写真:共同通信社)
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 2026年3月開催の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、侍ジャパンはすでにロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平と山本由伸を大会メンバーとして正式に発表している。MLB側から提示された「出場可能な日本人メジャーリーガーの所属リスト」に基づく手続きであり、スーパースター2人の出場は制度上すでに確定事項だ。

 にもかかわらず現在、このタイミングでクローズアップされているのは言うまでもなく「出るか、出ないか」ではない。焦点はただ一つ、大谷がWBCで投手として登板するのか否かにある。前回大会では投打二刀流でフル稼働し、決勝では抑えとしてマウンドに立った。その記憶が鮮烈であるだけに、今回は「投げない」という選択が際立って映る。

大谷の個人的判断とは別の事情で…

 大谷本人は出場が決まっているという前提のもとで、登板の可否について慎重な言葉を重ねてきた。白黒を即断しない語り口は決断を先送りしているというより、語るべきでない事情が背後にあることをうかがわせる。実際この「登板回避」という結論だけが先行し、その理由は明確に共有されていない。

 なぜ今回は結論だけが先に示され、背景は伏せられるのか。なぜ大谷の言葉は、可能性の余地を残す形で発せられてきたのか。出場が既定路線であるからこそ浮かび上がるこの違和感はやがて個人の判断を超え、より構造的な問題へと多くのファンを導くことになる。

 1月31日(日本時間2月1日)、ロサンゼルスの本拠地ドジャースタジアムで行われたファン感謝イベント「ドジャーフェスト」。WBCを約1カ月後に控えたこの日、登板を巡る大谷の言葉は、あくまで慎重だった。

 取材対応に応じた大谷は侍ジャパンとしての出場が正式に決まっていることを前提にしながらも、WBCでの投手起用については「まだ分からない」「最後まで調整次第」と述べ、明確な線引きを避けた。すでにブルペン入りを重ね、変化球も交えて30球前後を投げている現状を明かしつつ、判断の時期については「状態うんぬんじゃないところを含めての話になる。そこは球団とコミュニケーションを取っていく」と語った。投手としての可能性を完全に否定しない一方で、断定を避ける言葉選びが目立った。