トランプが生んだ欧州ドゴール主義
トランプがやってきたことは一種の欧州ドゴール主義を生み出すことになる。
欧州大陸はほぼ丸ごと(ハンガリーのようなトランプ主義擁護の国を除いて)米国からデリスキングする必要性をひそかに受け入れているからだ。
その目標はカーニーが述べた状況、すなわち「統合が我々の従属の源泉になる」のを避けることにある。
フランスには自前の核抑止力がある。英国のそれとは違い、米国の技術に頼っていない。
だが、同時にフランスは、ぜい弱な財政と、昔からのパートナーに対するしつこい疑念のために身動きが取れずにいる。
ドイツが全面的な再軍備に向かうのではないかとか、英国はこの先ずっと米国の言いなりなのではないかと疑っている。そして、急進的な政治勢力が台頭していることへの恐怖心がこれらに拍車をかけている。
そのため、フランスはほかの国にとって非常に厄介なパートナーにもなり得る。
英国民は、フランスがブレグジット(英国による欧州連合=EU=離脱)にこだわるあまり、共同防衛支出のような問題について――事態が急を要するにもかかわらず――議論を渋っていることに深く苛立っている。
また、フランスはそのEUにおいても扱いにくい加盟国になる恐れがある。
実際、EUと南米南部共同市場(メルコスール)の新しい貿易協定をいまだに阻止(フランス国民なら「再交渉」と言うだろう)しようとしている。
この協定は、米国への依存度を引き下げる多角化戦略の格好の事例になるはずだ。
欧州諸国もそのほかの国々も、今後数カ月から数年間は過度に活発な米国大統領――その一貫性のなさは、当人が振るえる権力の強大さに勝るとも劣らない――が生み出す新たな危機への対処に追われ続けるだろうと思っている。
「平和評議会」は機能し得たかもしれないが・・・
ダボスではトランプの最新事業「平和評議会」が鳴り物入りで披露された。当初の目標はパレスチナ・ガザ地区の安定化と復興だったが、今では明らかにそれをはるかに超えるものを目指している。
トランプ政権がやっているのは、国連に代わる協議の場を新たに作ることなのだ。
もっと粘り強くて信頼できる米国大統領が担い手であれば、そのようなアイデアが機能するようになる可能性もある。
米国が誤解の余地のない手綱さばきでリードしてくれる組織であれば、決断を下して危機に対応することが、慢性的に分断されている国連安全保障理事会よりもはるかに容易に行える。
そしてその組織が米軍の力を利用できるのであれば、そうした危機への対応は効果的に行えるだろうし、国連の平和維持活動(PKO)編成とマンデート取得という骨の折れる手続きも回避できるだろう。
だが、平和評議会をグローバルな規模で適切に機能させられる規律や公平さがトランプとその側近たちに備わっているだろうか。
合理的な考え方をする人ならほぼ例外なく、疑問を抱かずにはいられないはずだ。
そこで浮かび上がるのがダボスを悩ませる最大の問題、すなわち一部の参加者が言うところの「マッド・エンペラー(狂気の皇帝)」問題だ。