スマートフォン上のGeminiのアイコン(2025年10月27日撮影、写真:ロイター/アフロ)
2025年半ばから2026年にかけて、AIを巡る覇権争いは大きな転換点を迎えた。
対話型AI「Chat(チャット)GPT」の爆発的普及により、長らく「追う立場」に甘んじてきた米グーグルが、盤石なインフラと組織刷新を武器にその勢いを取り戻している。
一方、ChatGPTによる先行者利益を享受してきた米オープンAIは、急追するライバルの影に危機感を募らせ、守りの姿勢を鮮明にしている。
「Nano Banana」が変えた潮目
潮目が変わったのは、2025年夏の終わりだった。
グーグル社内で「Nano Banana(ナノ・バナナ)」と名付けられた超高速の画像生成ツールが、AI格付けプラットフォームで首位を獲得。
これが起爆剤となり、同社のAIアプリ「Gemini(ジェミニ)」は同年9月に米アップルのアプリストア「App Store」で首位を奪取した。
続いて11月に投入された最新モデル「Gemini 3」は、多くのベンチマークでChatGPTを凌駕。
これに対し、オープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)は即座に社内で「コード・レッド(非常事態)」を発令した。
同社は広告展開やAIエージェント、個人アシスタント「Pulse(パルス)」といった新規プロジェクトを一時凍結し、ChatGPTの品質改善という「原点」にリソースを集中させる異例の措置を講じた。
2026年1月12日には、アップルが音声アシスタント「Siri(シリ)」の刷新にGeminiの採用を正式決定したと発表。
この巨大な信任票により、グーグル(アルファベット)の時価総額は一時4兆ドル(約630兆円)を突破し、市場の期待感は最高潮に達している。