「シニアの場合、サボり癖がつく方もいらっしゃる」

 食品工場の仕事は、同じ作業をやり続ける一日中立ちっぱなしの単純作業だ。

「総菜ができるまでにはさまざまな工程があり、仕事は多岐にわたります。たとえば、10キロくらいの牛や豚の肉の塊の表面についた畜毛や骨などを目でチェックしてピンセットで取り除く作業などです」

 成形された大量のメンチカツの中に形が悪いものがないかチェックする係、チーズハンバーグのチーズがはみ出しているものをラインから取り除く係、袋詰め係、箱詰め係など。単純なようでも肉体的にはかなりキツく、すぐにやめてしまう人も多い。

「前職で力仕事を一切やっていない方にとっては厳しいです。シニアの場合、体がしんどいと、自分では動かずに口だけ出すという、サボり癖がつく方もいらっしゃる」

 工場側としてはシニアが人手不足解消の要だ。面接の時には工場見学してもらい、実際に続けられそうな人かを慎重に見極めている。まず、高齢者の体力だ。

「工場見学の時に専用のつなぎを着て中に入ってもらうのですが、着替えの時に、足がフラつく人はお断りすることもあります」

 ほかにもZさんの工場では、シニアが働きやすい環境を整えるため、特に安全面では細かい配慮をしている。

「原材料の小麦粉やパン粉の袋を積み上げる時、以前は高さ制限を設けていなかったのですが、腰を痛める危険があるので、170センチ以上は積み上げないようになりました。また、シニアには20キロ以上の重量物の運搬は頼みません」

 ほかにも、滑りにくい長靴を導入したり、階段に手すりを増やしたりといった工夫をしている。

「怪我をしてからでは遅いので、ヒヤリ・ハットの声を聞いたら、すぐに吸い上げて対応しています。お陰で労災申請は今、1年に1回程度しかありません。シニアは怪我をしたら入院したり、寝たきりになってしまったり、という危険もある。それでは働いた意味がなくなってしまうことも、シニアのみなさんには繰り返しお伝えしているところです」