シニアが働き続けるための条件

「シニアに偏見を持たないことですね。高齢者だから力仕事や立ち仕事ができない、物忘れがひどい、労災リスクが高いと考える会社さんも多いですが、『こんな大事なポジションを任せてもらえるなんて、背筋が伸びる』って、ものすごく緊張感を持ってやってくださるシニアもいるんです。年齢で判断してはダメ、個人を見たほうがいい。能力や体力は個人差がありますから」

 シニア労働者を当てにする声は大きい。一方でシニアが働き続けるには、厳しい条件をクリアしなければならない。

 知力、体力に加えて新しい価値観に適応し、周りと協力できるコミュニケーション力、謙虚で使いやすい労働者が求められている。年長者の知恵や経験はあまりアテにされていない。むしろ情報が洪水のように溢れる社会では、シニアの経験や知識はどこかうるさいもののように捉えられている。

 シニアの望む働き方と、今の社会がシニア労働者に求めるニーズは、どこかちぐはぐだ。シニア労働者は、若い世代の要請に応えなければならないという試練にさらされている。

若月澪子(わかつき・れいこ)
NHKでキャスター、ディレクターとして勤務したのち、結婚退職。出産後に小遣い稼ぎでライターを始める。生涯、非正規労働者。ギグワーカーとしていろんなお仕事体験中。著書に『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』(朝日新聞出版)がある。