モルドバのEU加盟は全面対決の端緒となるか

 モルドバのEU加盟は、ロシア人やガガウズ人の保護を名目としてEU域内へのロシア軍の侵攻を誘発しかねない。ルーマニア系住民だけでなく、ロシア人やガガウズ人にもEU加盟のメリットを説き、丁寧に住民を宣撫(せんぶ)することが重要だ。

 特にガガウズ人はトルコ系であり、トルコの協力が欠かせないだろう。しかしながらトルコから見れば、トルコのEU加盟を拒否しつづけてきたにもかかわらず、モルドバについては協力しろというのは虫のいい話だ。

 結果的にEUはスターリンの呪いに巻き込まれ、ロシアとの全面対立に陥らざるをえないのではないだろうか。

安木新一郎(やすき・しんいちろう)
函館大学商学部教授、択捉島水産会理事
専門:ロシア経済、貨幣史
略歴:昭和52(1977)年兵庫県生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得満期退学。経済学修士。外務省在ウラジオストク日本国総領事館専門調査員などを経て、2023年より現職。
著書:『ロシア極東ビジネス事情』(東洋書店、2009年)。『貨幣が語るジョチ・ウルス』(清風堂書店、2023年)など多数。