米国の戦略再編
トランプ政権は「崩壊する中国」を前提に動く
米トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)と国家防衛戦略(NDS)は、中国を「永続的に安定した大国」とは位置づけていない。
これらの文書は、中国を体制的脆弱性を抱えた戦略的競争相手と捉え、
・経済減速
・社会不安
・軍の腐敗
・党統治の不安定化
といった内部リスクを前提にした対中戦略を提示している。
米国は中国を「長期的に崩れ得る国家」と見なし、対中依存の縮小、サプライチェーン再編、軍事抑止の強化を同時並行で進めている。
さらに、
・経済停滞
・軍の腐敗
・エリート層の分裂
・地方財政危機
といった構造的脆弱性を踏まえ、米国は「中国が崩壊しても巻き込まれない体制」の構築へと戦略を再編している。その柱は次の通りである。
・サプライチェーン再編とデカップリング
・第1列島線での抑止力強化
・台湾・日本・フィリピンの役割増大
・情報戦・エリート動向の監視
・崩壊過程の「結果管理(outcome management)」戦略——中国の崩壊そのものを止めるのではなく、崩壊が引き起こす混乱・波及・リスクを最小化するための事前準備
米国はすでに、中国の不安定化を「戦略環境の前提条件」として扱い始めている。
日本が直面する新たな中国リスクと戦略的課題
中国の不安定化は、日本にとって次のリスクを伴う。
・台湾有事の可能性
・中国国内の混乱による難民・治安問題
・経済依存のリスク顕在化
・サプライチェーンの再構築
・東アジアの軍事バランスの変化
日本は「強い中国」だけでなく、「弱く、不安定化する中国」にも備える必要がある。
さらに、日本は「台湾有事」と並行して、中国の急激な不安定化や統治崩壊といった「中国崩壊有事」も想定し、両事態を同時に準備する戦略的発想が求められる。
結語:2026年は東アジア秩序の転換点
張又侠・劉振立両氏の失脚は、単なる汚職摘発の範囲に収まるものではなく、中国内部で進行する巨大な地殻変動を示唆する予兆と見るべきだ。
それは、習近平体制が抱える内部矛盾が臨界点に近づきつつあることを示す「構造的危機」の表出である。
2026年は、中国の権力構造が大きく揺らぎ、東アジアの戦略秩序が再編される転換点として記憶される可能性が高い。