現代中国に現れる「末期症状」の具体像

 2023〜2026年に続いた粛清ラッシュは、軍・党・国有企業のエリート層を萎縮させ、官僚機構全体に「何もしない方が安全」という空気を蔓延させた。

 その結果、国家運営の中枢で次のような「末期症状」が顕在化している。

●軍の装備調達の遅延

 ロケット軍・装備部の粛清により、調達部門が麻痺し、兵器開発・補給・維持整備が滞る構造的停滞が生じている。

 軍内部では「判断すると処罰される」という恐怖が広がり、意思決定が停止している。

●経済統計の改ざんと実態の不透明化

 地方政府や中央官庁が、処罰を恐れて悪い数字を隠すため、GDP(国内総生産)・失業率・財政収支などの統計が実態を反映しなくなっている。

 トップが現実を把握できないという点で、崇禎帝末期の「情報遮断」と酷似する。

●破綻寸前の地方財政

 不動産バブル崩壊と税収減で、多くの地方政府が給与遅配・公共サービス停止に追い込まれている。

 しかし、中央は責任追及を恐れる地方官僚の虚偽報告により、実態を把握できていない。

●官僚のリスク回避と行政の停止

 粛清の恐怖から、官僚は「決裁しない」「動かない」ことを最適行動とみなし、行政が事実上の「停止状態」に陥っている。

 これは政治学でいう「官僚の萎縮(risk aversion)」の典型例である。

●習近平氏の周囲から同格の政治家が消失し、孤立が深まる

 李克強氏の死去、胡春華氏・李尚福氏らの失脚により、習近平国家主席と対等に意見できる人物が消え、側近政治が極端に進行している。

 これは崇禎帝が魏忠賢排除後に「孤立した皇帝」となった構造と重なる。

まとめ:崇禎帝末期との構造的同一性

 これらの現象は、崇禎帝末期の「情報が上がらない皇帝」と同じ構造である。すなわち、

・粛清 → 恐怖 → 情報遮断
・情報遮断 → 誤判断 → 統治能力の劣化
・統治能力の劣化 → 組織の自壊 → 統治者の孤立という「権力の自壊プロセス」が現代中国で再現されつつある。