白鵬に迫る昇進スピード

 外国出身力士が頂点に立つ――。その到達点を、近代相撲で最も明確に示した存在がモンゴル出身力士の元横綱白鵬翔氏(以下敬称略)だった。

 現役時代の優勝は45回、通算1187勝、連勝63。数字を並べるだけで、もはや異次元の存在であることが分かる。白鵬は単に強かったのではない。相撲の「基準点」そのものを引き上げた横綱だった。

 だが今、安青錦の名前が、その白鵬と並べて語られ始めている。理由は明確だ。昇進のスピード、勝ち方の質、そして年齢。白鵬が横綱に昇進したのは22歳2カ月だったが、安青錦は21歳10カ月で新大関Vを成し遂げ、すでに綱取り圏内にいる。

 白鵬は初土俵となった2001年春場所から25場所で横綱へ昇進。一方の安青錦は2023年9月の秋場所が初土俵で、そこから数えて横綱昇進がかかる2026年3月(春場所)は16場所目だ。

 その春場所千秋楽の翌日となる3月23日がちょうど22歳の誕生日となるだけに、「吉報」が自らのバースデーを祝うことになる可能性もある。現在の時間軸だけを見れば、白鵬以上のペースで突き進んでいると評しても差し支えない。

 日本相撲協会関係者はこう力説している。

「記録は簡単に超えられるものではないが、挑戦権を持つ力士は限られる。安青錦は、その“挑戦権”をすでに手にしている。私は品格も含め、十分に白鵬を超えられると思っている」

 重要なのは、記録を意識して無理に取りにいく相撲ではない点だ。勝つべき一番を、勝つべき形で積み重ねている。その結果として、数字が後からついてくる。