日本への影響:日本はどの道を選ぶのか
日本にとって今回のNDSは、次の3つの圧力をもたらす。
①防衛費5%要求が突きつける「両立不能」のジレンマ
米国が同盟国に求めたGDP比5%という防衛費目標は、単なる数値基準ではない。
それは、「米国との同盟を維持するために負担を増やすのか」「負担を拒否して米国の優先度低下を受け入れるのか」という、両立不能のジレンマを同盟国に突きつけるものである。
②台湾有事への米国コミットメントの曖昧化
米国が今回のNDSで台湾に一度も言及しなかったことは、単なる表現上の問題ではない。
それは、「米国の介入を前提に抑止力を維持するのか」「米国の関与後退を前提に自前の備えを強化するのか」という、両立不能のジレンマを台湾と日本を含む周辺の同盟国に突きつけるものである。
③国内政治への影響
米国の戦略転換は、日本国内の政治にも単なる政策論争を超えた影響を及ぼす。
それは、「防衛力強化に伴う財政負担を国民に求めるのか」「負担回避を優先して安全保障上のリスク増大を受け入れるのか」という、両立不能のジレンマを政府と有権者に突きつけるものである。
④高市首相の訪米と選挙結果がもたらす「第4の圧力」
高市早苗首相の就任後初の訪米は、2026年3月20日を軸に調整が進んでいる。
しかし、この訪米は単なる外交儀礼ではなく、日本の安全保障政策に直接的な影響を与える政治イベントとなる。
衆院選の結果は、この訪米の意味を大きく左右する。
(1)選挙に勝利した場合:政策決定が一気に進む
選挙に勝利した高市政権は、強固な政治基盤を背景に、
・防衛費増額
・台湾有事への備え
・日米同盟の再定義
といった重い政策判断を、訪米での首脳会談を起点に一気に進める可能性が高い。
特に、米国が求める「防衛費5%」の扱いは、訪米の最大の焦点となる。
(2)選挙に敗北した場合:訪米自体が不透明に
一方、選挙で敗北した場合、
・訪米日程の再調整
・新政権による対米政策の見直し
・防衛費増額の先送り
が現実味を帯びる。この場合、日本の安全保障政策は再び「漂流状態」に入り、米国の戦略転換に対して後手に回るリスクが高まる。