国民・参政、共産・社民の立ち位置は

 あとは「多弱」をどう見るかだが、おおむね以下の二つのグループに収れんされると思う。

◎「少数与党」に乗じ、キャスティングボートを握って与党への影響力を及ぼそうとする「ゆ党」(国民、参政など)
◎自民とも中道ともくみしない「たしかな野党」(共産、社民など)

 前者の戦略は、先に与党入りした維新と、あまり変わらない。政策的には「自民党アシスト」の立場だが、自民党が勝ち過ぎると自らが埋没してしまうので、同党には適当に負けてもらい、弱った彼らが自らへの協力を求めてくるのを待って影響力を発揮する、という戦略だ。

街頭演説する国民民主党・玉木雄一郎代表(写真:ロイター/アフロ)
衆院選公約を発表する参政党・神谷宗幣代表(写真:ロイター/アフロ)

 だから、彼らは選挙戦では自民党と強烈に対峙するかもしれないが、それは野党としてではなく、自らを自民党に「高く売る」ためだと言っていい。

 後者は55年体制の昔からなじみ深い立ち位置と言える。彼らはもちろん自身の党勢拡大にも力を注ぐが、同時に今回期待しているのが、新党「中道改革連合」から、一部の立憲支持者の支持がはがれる可能性だ。

 特に、過去に立憲との選挙協力を行ったこともある共産は、立憲が与党だった公明と「中道」を結成したことを「裏切り」と強烈に批判。「中道」の候補者がいる小選挙区でも、候補者を積極的に擁立する構えだ。

共産党の第7回中央委員会総会で気勢を上げる田村委員長(左から5人目)ら=22日午後、東京都渋谷区の党本部(写真:共同通信社)

 というわけで衆院選の構図は、①国家主義的政策をとる自民・維新の与党、②国民生活重視で共生社会を目指す立憲・公明らの新党「中道」、③与党を「ほどほどに」敗北させて与党への影響力行使を狙う「ゆ党」(国民、参政など)、④自維政権にも「中道」にも距離を置く「たしかな野党」(共産、社民など)――という四つのグループの戦いとなった。

 ①②が主に小選挙区を主戦場に、政権の中核政党としての立場を争う「政権選択選挙」を戦い、③④は比例代表中心の戦いでそれぞれ①②の票を削り、2大政治勢力に対する影響力の行使を目指す形だ。

 しかし、例えば①の自民、維新両党は選挙協力をしていないため、維新の地盤である大阪を中心に、一部選挙区で「与党対決」が生じている。

 一方、②の「中道」と③の国民民主党はともに連合の支援を受けており、一部の選挙区では選挙区調整をしているが、ここへ来て東京などで、国民民主が中道の候補への対立候補を大量に擁立し始めた。両党は協力選挙区と対決選挙区が混在した状態になっており、選挙後に高市政権が存続した際に、中道支持層の票で議席を得た国民民主党議員が、政権への「協力勢力」となる可能性も否定できない。

 政界再編の過渡期とは言え、このように「有権者が何を選択しているのか分からない」状況を、政治の側が自ら生んでいるのはいただけない。