AIバブル論と中国勢の急追

 それだけではない。韓国紙デスクは「AIバブルがはじけ始めたら韓国経済は大打撃を受ける。米国ではAIバブル論がもはや一部の専門家の声ではなく、広く浸透し始めている」と話す。

 このデスクは「半導体メモリーの価格が半年で2倍、3倍、5倍になったということは、いつ逆のことが起きてもおかしくないと考えるべきだ」と警鐘を鳴らす。

 つい数年前の2022年~2023年には半導体メモリーの在庫が急増し、サムスン電子もSKハイニックスも利益が急減した。SKハイニックスの2023年決算は営業赤字だったのだ。

 この2社と取り引きが多い日本の化学メーカーの幹部は別の話をしてくれた。

「半導体スーパーサイクルで御社も儲かるでしょうといろんな人に言われるが、2社の生産量がどんとん増えて当社への発注が増えたわけでも、画期的な新製品が出たわけでもなく、HBMやDRAMの価格が急騰しているだけだ。私たち取引先には大きな恩恵などない」

「サムスン電子やSKハイニックスは利益こそ大きく増えているが、実力がぐっと高まったという印象はない。それに比べると中国の半導体企業の技術の進歩や生産量の伸びはすさまじい。DRAMもどんどん追いついてくる」

 あちこちで心配のタネもあるのだ。

株高、通貨安は日本と同じ

 2026年の韓国経済は、AIブームに乗って半導体業界がさらに爆発的な成長を遂げる1年になるのか。あるいは、AIブームと半導体スーパーサイクルに変調の兆しが見えてくるのか。

 サムスン電子とSKハイニックスに対する超強気の業績予想と勢いが続くコスピで2026年は幕を開けたが、もう一つ心配事もある。

 ウォン安だ。

 ウォン相場は、2017年には1ドル=1000ウォン前後だった。2024年秋に1300ウォンになり、12月の非常戒厳令宣言の頃に1500ウォン近くまで下落し、その後ずっと1400ウォン台で推移し、現在は1500ウォンをうかがっている。

 以前は韓国経済にとってもウォン安はプラスだったが、いまはサプライチェーン、生産体制のグローバル化が進み、輸入物価が上昇するウォン安は韓国経済にマイナスにもなってきた。

 ある経済閣僚経験者はこう指摘する。

「株高と自国通貨安が同時に進むのは韓国も日本も同じだ。事情は少しずつ異なるが、日本経済と株価、円相場も気になる一年になる」

 コスピ5000を目前にして韓国の経済専門家や企業人、投資家の間でも強気と懸念が錯綜する年明けとなった。