柏鵬戦で一番耳目を集めたのが昭和35(1960)年秋場所。新大関柏戸は6勝2敗、新関脇大鵬は8戦全勝で両雄が9日目に激突した。当時の様子を読売「大相撲」誌10月号で三宅充記者は
「九日目は、日本人の半分以上が、柏戸と大鵬の一番に注目していたのではないだろうか。フロ屋でも、床屋でも、飲み屋でも、電車の中でも、大鵬―柏戸戦の話で持ち切りになっていた」
と当時のフィーバーぶりを伝えている。テレビの普及率が異なるとはいえ、当時の相撲中継の視聴率はかなりハイレベルだったことは推測される。
満天下の注目を集めた新大関柏戸と新関脇大鵬の対戦。柏戸が上手投げで勝利(昭和35年秋場所9日目)
昨今のスピード出世記録は人材難の裏返し
現在は生きのいい若手力士の台頭や、以前より全力を尽くして取る相撲が増えたことが人気の理由であることは間違いないだろう。不祥事続きで相撲人気もやや低下した時期もあったが、さすがに国技の強みということなのか、底堅い面がある。
現制度が整ってからでも270年近く続いているだけに、プロスポーツとして一番安定しているようにも見えるが、「このままでは10年後が心配」と将来を憂う親方衆は思いのほか多い。ここ20年来の新弟子不足が一向に解決されていないからだ。
最近、新入幕で大活躍をする力士が増え、数々のスピード出世の記録が作られているが、それは見方を変えると幕内力士がややレベルダウンしている面は否定できない。現在のように人気があることを好機と捉え、競技人口を増やすことや、待遇をよくすることなど、人材確保につながる方策を打ち出さないと、大相撲がこのまま安泰である保証はどこにもない。
100年、200年といった長いスパンで取り組み、スポーツと文化がうまく融合した、世界でも稀に見る魅力的な興行を、伝え続けていかなければならない。





