トランプ支持率は低下、背景に深刻な物価高
マライ:トランプ政権は2期目ですが、1期目との違いや変化はありますか。
町山:トランプ政権の1期目と2期目の最大の違いは、歯止めの有無です。1期目は経験豊富な閣僚が、違法や無謀な政策に反対していました。しかし2期目は閣僚をイエスマンで固めたため、議会や最高裁の後押しもあり、トランプの意向がほぼそのまま通る状態になっています。
その結果、移民の強制退去が令状や十分な司法手続きを経ずに行われる事例が報告されています。これは、正式な司法手続きを経ずに人を拘束・追放してはならないという、憲法第1条9項に明記された「人身保護(ヘイビアス・コーパス)」に明確に違反します。
ところが記者会見でこの違反を指摘されても、トランプはその意味を理解せず、担当閣僚も説明できませんでした。政権中枢が基本的な憲法原則すら把握していないことが、現在の深刻な問題です。
マライ:米国民はこうしたトランプ政権の状況をどう見ているのですか。
町山:トランプ政権への国民の支持は低下しており、最新(12月中旬に公表されたロイターやCNNの世論調査)の支持率は約39%と発足当初に比べると低迷しています。最大の理由は経済で、物価高が深刻です。食料品や外食費は大幅に上昇し、住宅価格も高騰しています。
特に都市部では、給料が高くても家賃や生活費に消え、実際の生活は苦しい。シリコンバレーのような好景気の地域でも、住居費の高騰で豊かさを実感できない人が多い。飲食業なども、値上げしても儲からない状況です。それにもかかわらず、トランプは物価や住宅問題に有効な対策を打っていないため、不満は広がり続けています。