「WHAT」を具体化するときに常に自問する3つの要素

■ステップ④:アーリーアダプターがファンになり、共感が広がり、仲間が増える

 ⓪から②までは、「WHY」と「HOW」を突き詰めて、自分やプロジェクトの存在意義を考えるフェーズでした。「この取り組みがある世界とない世界で、何がどう変わるのか」「その差をどう表現すれば伝わるのか」への注力です。

 その先の実現力のステップ③、そしてステップ④は「WHY」と「HOW」を土台にした「WHAT」、つまり「具体的に何をするか」のフェーズです。

 ここで最も重要なのは、「相手の利益を最大限に考えること」です。ビジネスは他者の協力なしには成り立ちません。しかし成果が出るまでは、自分たちの価値を証明できないのが現実です。だからこそ、相手の立場を徹底的に考え抜き、期待を超える提案やプレゼンにこだわる必要があります。

 そこまでやり抜けば、一人では実現できない「想定以上のリターン」が返ってくるものです。ロジカルな定義ではありませんが、実現力とはそういうものだと私は考えています。

 また、仕事でも、個人的なことでも、打ち合わせや相談の場では、必ず相手が求めているもののヒントや悩みが出てきます。それを吸収し、次のコミュニケーションに反映させる。このループを生み出すことで、「この会社に任せられる」「この人なら大丈夫」という信頼が生まれます。

 私が「WHAT」を具体化するときに常に自問するのは次の3つです。

◎ファンにしたい相手が目的を達成するには、何をすればよいか
◎そのための最短ルートは何か
◎どんな体験を用意すれば、相手の理解が最も深まるか

 そうした小さな積み重ねが、共感を広げ、仲間を増やしていきます。差別化のポイントをわかりやすく伝え、三方よしのモデルであることを示す。すると、いわゆるアーリーアダプターと呼ばれる初期のファンが生まれます。

 仕事に関するプロジェクトであれば、職場の仲間、取引先の担当者、利用した顧客であり、個人の取り組みであれば、家族、友人、知人。最初にあなたの実現したいことに価値を見出してくれた人の力を借りることで、口コミの輪を広げていきましょう。

 口コミが発生する仕組みを知っておくことは、とても重要で、その仕組みはとてもシンプル。次のような傾向を指標にしてみてください。

良い口コミ:そのプロジェクトや商品、サービス、取り組みが、期待以上
悪い口コミ:そのプロジェクトや商品、サービス、取り組みが、期待以下
無反応:そのプロジェクトや商品、サービス、取り組みが、期待通り

「期待以上」を提供できれば、自然とよい口コミが連鎖し、プロジェクトは加速度的に広がっていきます。