自治体側は事業者に騙されやすい

山口:それは推測でしかお話しできませんが、事業者側としては、許可を1日でも早く取りつけ収益を上げたいと思うのは当然のことだと思います。様々な悩ましい事情もあったのだと思いますが、こればかりは本当のことはわかりません。

 法的には、林地開発許可の根拠となっている森林法に問題があります。森林法において、林地開発許可は許可要件が整っている限り「許可しなければいけない」義務規定となっています。許可要件が整っているのに県が許可をしなければ違法行為となり、訴訟の対象になり得ます。

 つまり、事業者側が行政の審査担当者に「早く河川協議を許可しろ。他の県ではこの書類ですぐに許可がおりている」などと精神的プレッシャーをかけることも想像できます。

 私たちが函南の計画を止められたのは、一地方の問題として向き合うのではなく、全国の問題でもあるとしてマスコミにも積極的に働きかけたことも要因の一つです。中央省庁や各党に対して具体的な事例や証拠写真、関係書類を示して説明を続けてきたことも功を奏したと思います。

 当時、与野党の国会議員の多くは再エネ推進派で、誰も国会でメガソーラーやメガ風力がいかに環境を破壊し地元住民を苦しめているか、住民が災害に怯えているかを指摘していませんでした。しかし、私たちの活動の結果、そうした現状を高市早苗氏などが取り上げてくださり、それをきっかけに、再エネ政策の暴走に歯止めがかかりはじめました。

「メガソーラー慎重派」の自民党新総裁・高市早苗氏(写真:共同通信社)

 自慢話のようで恐縮ですが、政府の「第15回再エネタスクフォース」で赤裸々に訴えたことも、今日の再エネ政策の方向転換に微力ながら貢献できたのではないかと自負しております。             

──メガソーラーを設置するにしても、当然ですが安全性が担保された上で事業を行うべきですよね。