SNSに広がる「論争界隈」とは?
一昔前は、ニコニコ生放送やツイキャスなどで配信をしている人が「喧嘩凸」というジャンルでリスナーに囲まれながら口喧嘩を売りに行き、オープンな場所でぼろくそに罵り合うというような文化でした。
それが今ではグループ通話機能があるYay!(イェイ)やDiscord(ディスコード)などのクローズドなアプリの中で、「論争界隈」というジャンルに形を変えて文化が引き継がれています。いつの時代も口喧嘩をしたい子たちが一定数いるんだなと思うところであります。
論争界隈と聞いてもピンとこない人が多いと思いますが、単に罵り合うのではなく、「相手を論破することを目的とした口喧嘩」という感じで、ひろゆき氏が論破文化を世間へ流行らせた結果、口喧嘩に論破の要素が組み込まれたというものになるのですが、やっているのは子どもや若者たちなので、大人が聞くと、よくわからない子どもの口喧嘩にしか聞こえません。
しかしながら、論争界隈は一部の子どもや若者たちにとって刺激的で非常に盛り上がるジャンルであることは間違いなく、オーディエンスに囲まれながら口喧嘩対決し、しっかり勝敗を決めるだけでなく、論争界隈のなかで口喧嘩の強い人物を格付けし、日々格付けが更新されているのを見ると、ちゃんとしているなと感心する面もあります。
ただ、口喧嘩が健全な文化として定着しているのであればなんの問題もないのですが、やっていることはあくまで口喧嘩であり、いくら遊びでやっているとしても負ければむかつきますし、格付けまであるとなればヒートアップしていくのが思春期真っ盛りな子ども心なんでしょうね。
論争界隈の一部では、口喧嘩の行き着く先に個人情報を晒すといった行為まで発展することがあり、ここまでくると子どもが遊びでやっている口喧嘩という枠では収まりません。
個人情報は自分で教えなければ大丈夫といった認識を持っている方が多いかもしれませんが、それはあくまでも大人の常識を前提にした場合になります。ブレーキの壊れた子どもにとって、同年代の個人情報を特定するのはそこまで難しいことではないのが現実です。
インスタグラムのようなリアルの延長線上にあるアプリでは、子どもや若者たちが鍵をかけたアカウントで同級生やリアルの友達と相互フォロー関係になり、日常の写真などを気軽にアップロードしながら楽しく使っています。こういったリアルとつながりの強いアプリは個人情報の宝庫であり、悪意ある第三者がその気になれば、狙った人物にたどり着けてしまいます。
ヒートアップする口喧嘩の中で、相手から個人情報の糸口になるような情報を聞き出すか、インスタグラムなどの個人情報が特定しやすいSNSから相手の情報を手に入れるわけですが、ここで問題になってくるのが住所や家族構成に友人関係といった情報も筒抜けになってしまうことです。狙われた人物だけの問題で終わらず、周りの人たちも攻撃されるケースが出てきてしまうのです。
※特定方法の詳細については問題があるので省略しています。