教授会にコンプライアンスを期待できるか?
私は1999年に任官しましたので、年が明ければかれこれ28年間、大学で研究室を主催していることになります。当然ながらこの間、多数の企業から奨学寄附金をいただき、それで小さな研究室を回してきました。
私の場合、今回医学部で指摘されるような問題は一切介在しようがありません。というのは、私がIT企業から何万円かご寄付をいただいたとしても、大学が行ういかなるIT関連の入札その他にも私は関わっていませんから、官費の執行官としての贈収賄など発生しようがないからです。
大学の圧倒的に多くの学部で、そのような便宜供与の可能性は低いことは知っておいていただきたい点です。
問題は「医学部」において「医師」は医薬品や医療機器の納入にあたって業者や製品を選定する権限をもっているという点です。
三重大学のケースでも、「医学部附属病院に医薬品の使用で便宜を図った見返りとして本学の口座に奨学寄付金として業者に現金を振り込ませた」ことが問題なのです。
そのような言語道断がまかり通るような、トンネル状態のガバナンスこそ改めて行かねばなりません。
一般に奨学寄附金は教授会での「審議事項」とされ、本件も医学部教授会を通過している可能性が高い。
私はかつて、もう定年前に辞めた人のケースですが、「パチンコ業者から800万円だかの奨学寄附金の申し出がある」という事案を潰した経験があります。
研究とはほぼ無縁の寄付者からの寄付金を受け取らないという判断も、本来は教授会がきちんと機能していれば、部局レベルで正常化できる可能性があるはずです。
ところが、それが十分に機能していない。とすれば、ルールを作るしかないでしょう。
すなわち「本学医学部・同付属病院などに納品している業者からは、一切の奨学寄附金は受け取らない」、あるいは「例外的な場合として、医学部・大学院医学系研究科などが受け皿となって適切に経理出納し、個別の研究者への寄付金の扱いにはしない」といった内部規律の強化です。