日本への旅行は「心を洗う旅」
企業人:いまは確かに、公務員にあぶれた学生が国有企業に就職して、国有企業にあぶれた学生が、われわれ外資系企業に就職して、そこでもあぶれた学生が中国の民営企業に就職している。それでも、国有企業は採用を大幅に減らし、外資系企業と民営企業ではリストラの嵐が吹き荒れている。11月には、広東省のキヤノンの工場が閉鎖になり、1400人が失業した。
本当に、できることなら日本で就職することを勧めるよ。日本はいま大変な人手不足だし、中国人だといって差別されることもない。
旅行人:日本は、安穏としていていいよ。紅葉も美しいし。日本へ行く機上はガラガラで、こんな時に日本になんか行ってまずいかなと、一抹の後ろめたさもあったけど、やはり来てよかった。
思えば10年前、日本旅行は「洗肺遊」(シーフェイヨウ=肺を洗う旅)と言われていた。中国はPM2.5の大気汚染がすさまじかったから、日本の空港へ降り立つと、思い切り深呼吸をしたものだ。
だがいまの日本旅行は、「洗心遊」(シーシンヨウ=心を洗う旅)だな。まさに心が洗われるようだ。中国でコロナ禍が明けてから、今回の騒動が起きるまで、日本が常に人気ナンバー1の海外旅行先だったことが理解できるよ。
企業人:中国の不景気がいつまで続くのかということが、最近の話題だけど、私は悲観的に見ている。最近は、税金を取れなくなった地方政府が、地方銀行に無理やり債券を買わせたり、地元で儲かっている企業を標的にして、不当な取り立てを行ったりしている。現地の日系企業も苦労が多い。
旅行人:たしかにいまの中国は、長期的不況に見舞われてピンチだ。それで中国国内では、「トランプ陰謀説」が、まことしやかに囁かれているほどだ。トランプは中国を日本と闘わせて、ますます弱体化させようとしているのだとか(笑)。
留学生:その話、私もSNSで見たわ。でも、中日のケンカをけしかけたトランプが、最後にまた登場して、中日を和解させるの。そしてつぶやく。「これでノーベル平和賞はオレのものだ」(笑)




