区割り案の作成基準
もとより、理想の選挙制度はなく、選挙区の区割り策定にはどこまでいってもゲリマンダーや恣意的な区割りと見られる疑義は避けられない。そのため、区割り作業にあたっては明確な基準が必須となる。当座、私たちが採用したのは、以下の原則である。
・人口比に応じて47都道府県に定数を振り分ける。
・各都道府県内では3人区を基本とし、定数が3で割れない場合は2人区および4人区を許容する。
・市区町村の行政区を分割しない。
・選挙区の飛び地を作らない。
・一票の格差については1.5以内を目指す。
・現在の小選挙区の区割りおよび旧中選挙区時代の区割りを手がかりとする。
・各選挙区の人口は総務省統計局による「令和2年国勢調査」に基づく。
この基準にしたがい、47都道府県、154の選挙区を作成した。一票の格差、すなわち選挙区における国会議員一人あたり最大人口と最小人口の差は、理論的な水準である1.5以内に収めることも可能ではあるが、私たちの試案では行政区のまとまりを尊重した結果、1.643まで縮まるに留まっている。
もとより、いかに客観的な基準をたてようとも、実際の区割り作業にあたっては作成者の恣意や便宜主義が入り込むことは避けられない。それでなお、選挙制度改革にむけた世論喚起の材料として、広く世に問う次第である。