中選挙区連記制のメリットとは

 1994年の政治改革は二つの側面を持っていた。一つは政治資金規正法の強化と政党交付金制度の導入、すなわち「政治とカネ」の問題の清算であり、二つめは中選挙区から小選挙区比例代表並立制への選挙制度改革であった。

 現在、自民党の裏金問題で30年ぶりに「政治とカネ」の弊害がクローズアップされ、企業・団体献金の存否について国会での議論が続いている。それにあわせて、一票の格差や議員定数のあり方をめぐる新たな選挙制度改革も勃興しており、現行の小選挙区比例代表並立制は改変が不可避になっている。

 私たちが提唱する中選挙区連記制の利点は、以下の3点である。第一に、中選挙区連記制は、小選挙区比例代表並立制と中選挙区単記制の双方の中間的な仕組みであり、死票、同士討ち、小政党の乱立といった両制度の短所が緩和される。

 第二に、現行の289の小選挙区制から154の中選挙区への変化となり、選挙区のサイズ変更が比較的緩慢なため、有権者と候補者の双方にとって馴染みやすいと考えられる。

 第三に、投票の仕組みとして2名連記(有権者が2名の候補者に投票できる)により、有権者が「二大政党を中心とした穏健な多党制」の枠組を選択できるようになることである。