急変する子供の生活環境
例えば、小学1年算数の「時計」で落ちこぼれる子供がたくさんいるそうです。最初は、モニター校の現実などを見るまで、私も状況がよく分かりませんでした。
子供たちは算数教科書のあるページで、図のジュースのような絵や写真を見せられ「どっちがおおい?」と(ひらがなで)尋ねられます。
それと隣接するページには、1から12までの数字が記され、何やらおそろしげなギザギザや悪魔のしっぽのような槍まで描かれている見慣れない針や数字が並んだ円盤(アナログ時計)を突然提示され当惑してしまう。
家にアナログの時計が全くない、あるいはあってもそれと意識したことがない子供が2025年の小学校には少なくない。
そういう現実を役所も教育関係者も認識していない。

(図はすべて筆者作成)
すでに20世紀後半、クオーツ発振などが標準化して、中世~ルネサンス期から発展してきた機械式時計の円盤を踏襲する必要はなくなっています。
いま私がこの原稿を書くのに使っているパソコンにも時刻が表示されていますが、すべてデジタル。私のPCには一つとしてアナログ時計に関係するアプリケーションは入っていません。
こうした現実と無関係に、また小学校の別の現実として、1時間目、2時間目・・・と時限を守る制約などから、アナログ時計の文字盤は早くから教えられています。
しかし、およそ準備がなく、いきなり、頭ごなしです。
そのギャップに子供たちはつまずき、算数が苦手、あるいは嫌いになってしまったりしている。かなり深刻な事態が進んでいます。