フェイスブックの方は戸惑うほどのフォロワーの急増ぶり

 さて、次にフェイスブックの「異変」を指摘する。

 私は、Xを「不特定多数の人にも言葉を届けるサービス」と捉え、不特定多数の人ともやり取りをしてきたが、フェイスブックは原則「出会ったことのある人、少なくともネット上で一定のあいさつを経たうえで知り合った人」とだけつながるサービスとして利用してきた。Xでは不特定多数の人たちから反応をもらっていたが、フェイスブックでは「友達」となった人からしか基本反応はなかった。だから、フェイスブックは知り合いとだけ付き合うサービスとして認識してきた。ところが。

 私の場合、フェイスブックでは長らく5000人程度だったフォロワーが、10月頃に1万人に急増したかと思ったら、11月に入って1万5000人にまで激増した。それと同時に、見ず知らずの有象無象の人たちが、私のタイムラインにいろいろ書き込んでくるようになった。

 それまで私のフェイスブックでは、「友達」あるいは「フォロワー」が、一定の礼儀をわきまえた上でコメントをくれていた。ところが、友達でもフォロワーでもない正体不明な人間が多数私のタイムラインに現れ、礼儀もくそもない粗雑なコメントを多数書いてくるようになった。「質の劣化」が甚だしく、その粗雑さはまるでXのよう。

 いったい何が起きたのか? とある人の書き込みから、その正体が見えた。どうやら、私のフェイスブックの記事がやたらと表示されるようになり、多くの人の目に触れるようになって、それで一気にフォロワー数が増えたらしい。その人によると、「広告料でも払って表示してもらっているのか?」と疑いたくなるほど、縁もゆかりもないはずの私の発言が頻繁に表示されるようになり、それに腹を立てて私に文句を言ってきた、という事情だった。

 他方、私の方はといえば、知り合いでも何でもない人間たちが急に好き勝手書くようになって迷惑だと腹を立てていたので、先方は拍子抜けしたらしい。「てっきり広告料を払って表示を増やしているのだと思ったら、そういうわけではないのですね」と言ってくれ、和解した。しかし、先方にとっても私にとっても迷惑であることには間違いない。

 どうやら、フェイスブックは悪い意味で「X化」したらしい。フェイスブックは従来、「友達」か自分がフォローする人物の発言しか表示されなかったのに、仕様を変更した結果、「この人の発言が面白いよ」と、勝手に勧めてくるようになったらしい。

 私の発言が「面白い」とお勧めされるようになったのは光栄なようだが、それが人ではなくプログラム(アルゴリズム)でしかないのなら、別に嬉しくはない。むしろ、私の発言がフェイスブック上で頻繁に表示されてしまい、「広告か?」と思われるほど多数の人に迷惑をかける形になっているのなら申し訳ないし、加害するつもりがないのに加害者であるかのような立場に置かれた私も迷惑。

 フェイスブックでもXと同様、自分の友達やフォローしている人物の発言ではなく、知り合いでも何でもない赤の他人の発言ばかりが表示されるようになっている。これでは、人と人とがつながる「SNS」とはとても言えない。