COP30のイベントに登壇したLONGi(隆基緑能)の李振国氏(写真中央、筆者撮影)
「太陽光発電のビリオネア」李振国氏
[ブラジル北部パラー州ベレン発]世界最大の太陽光パネルメーカー、LONGi(隆基緑能、本社:中国西安市)の創業者で最高技術責任者の李振国氏は11月15日、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)のイベントで持続可能なゼロカーボンのエネルギーシステムの未来を描いてみせた。
李氏とその家族は2022年のフォーブス長者番付で142位(推定資産129億ドル)にランクイン。一時は「太陽光発電のビリオネア」ともてはやされた。しかし過剰生産と値引き競争の「内巻き」を中国当局が厳しく規制するようになったのを機に李氏は経営の一線から退いた。
李氏は「2050年までに太陽光発電、蓄電、水素という3つの主要分野を深く統合し、新しいエネルギーのエコシステムを構築できると信じている。この新しいエネルギーシステムを『再生可能エネルギー無限循環システム』と呼んでいる」と語る。
日本はCCS(二酸化炭素回収・貯留)、水素・アンモニア混焼で化石燃料発電の延命を図る。しかし李氏は「化石燃料の過剰な使用と不均衡な分布は異常気象の頻発、エネルギーを巡る競争、地政学的な不安定化といった構造的な危機を世界中で引き起こしている」と強調する。