新技術は「協働」か「代替」か

 今回、同社が発表した新技術は、「効率化」路線と「協働」路線のどちらを加速させるのだろうか。

 Blue Jayが3つの作業工程を1つに集約するということは、単純に考えれば、その分だけ必要とされる人間のオペレーターが減少することを意味する。

 アマゾンはこれを「反復作業からの解放」と表現するが、NYTが報じた「75%自動化」計画を実現する上で、中核的な役割を担う技術になるとも考えられる。

 また、「Project Eluna」がAIの推奨に基づき人員配置を最適化するということは、将来的にはAIが人間の管理者に取って代わり、フロア全体を自律的に管理する未来を示唆しているとも受け取れる。

 アマゾンは、作業員がロボットを管理・保守する専門職へと移行する「アップスキリング(技能向上)」の事例を紹介し、70万人以上に従業員研修を提供してきた実績を強調する。

 だが、その一方で、自動化によって創出される「より高度な」雇用の数が、代替される「反復的な」雇用の数を上回るという保証はない。

 アマゾンは先月、ホリデーシーズン(年末商戦)に向けて25万人の採用計画を発表し、雇用創出者(Job Creator)としての側面をアピールした。

 しかし、同社が導入するBlue JayやElunaといった最先端のロボット・AI技術は、「より少ないリソースで、より多くの成果」を出すための強力な手段となり得る。

 投資家が期待する「効率化」の圧力と、米国最大規模の雇用主としての「社会的責任」。

 アマゾンが提示した「協働」というビジョンは、この2つの要求のバランサーとなり得るのか、それとも効率化を優先する戦略の隠れ蓑に過ぎないのか。

 同社が下す判断は、今後の米国の雇用環境そのものに影響を及ぼすことになりそうだ。

 (参考・関連記事)「アマゾン「50万人超 雇用をロボで代替」計画の波紋、効率化至上の内実と「人間と協働」路線の矛盾 | JBpress (ジェイビープレス)

 (参考・関連記事)「アマゾン、導入ロボット100万台 物流現場で、AIで革新、人間との協働が新たな段階へ | JBpress (ジェイビープレス)