報じられた「効率化」と「雇用代替」計画
こうした「協働」を前面に出す公式見解とは対照的に、NYTが報じた内部文書は、別の一面を示唆していた。
NYTが入手したとされる資料によれば、アマゾンは2033年までに50万人以上の職務をロボットで代替、あるいは新規雇用を抑制できると試算。
2027年までにまず16万人の新規雇用を抑制し、今後3年間で126億ドル(約1.9兆円)のコスト削減を目指すという。
背景には、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)が取締役会から「より少ないリソースで、より多くの成果」を出すよう強い圧力を受けているという事情があるとされる。
実際、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析では、アマゾンの施設当たりの平均従業員数は過去16年で最低水準にあり、米金融大手モルガン・スタンレーは、ロボット化されたFCの展開により、2027年までに最大40億ドル(約6000億円)のコスト削減が可能だと試算している。
一連の報道に対し、アマゾンの広報担当者は「不完全で誤解を招くものだ」「(リークされた文書は)会社全体ではなく、あくまで一つのチームの見解を反映したもの」と反論している。
ただ、NYTの報道によれば、アマゾンはこうした自動化による社会的反発を予期し、「AI」や「ロボット」といった直接的な言葉を避け、「先進技術」といった表現を使う広報戦略も準備していたとされる。