「ドローン減災士」など広がる人材育成
民間でも人材育成や独自の資格創設を進める動きが広まってきました。
研究者や事業者でつくる一般社団法人・ドローン減災士協会は、2021年に民間資格の「ドローン減災士」をつくり、各地で普及活動を進めています。この資格は地震や土砂災害などさまざまな災害・自然に関する知識、防災・減災活動に必要な法的知識、そしてドローンの運用に必要な技術や専門知識を習得した人に与えられます。同協会の資料によると、全国40カ所以上の提携スクールで一定の講習などを受けると資格を取得でき、現在は300人以上がドローン減災士として公的機関や企業などで働いています。
ドローン産業の関係企業や操縦士らでつくる最も古い民間組織、一般社団法人・日本UAS産業振興協議会(JUIDA)も防災・減災分野への関与を強めています。同会はすでに独自資格である「無人航空機操縦技能者」の取得者を約3万3000人も輩出していますが、ことし6月には防災に特化した人材開発システム「ドローン防災スペシャリスト」の提供を始めました。
さらに大分、奈良、静岡、北海道などの各道県、関西広域連合、自衛隊といった公共機関との提携を拡大。昨年末には全国各地に自主的な防災組織「ドローン民間防災組織JUIDA-D3(ジュイダ・ディーキューブ、D3はDrone Disaster Dispatchの略)」を設置し、本格的な活動をスタートさせています。
このほか、KDDIスマートドローンとあいおいニッセイ同和損保はこの6月、共同で被災状況調査に特化したドローンスクールを開校する計画を発表しました。全国の自治体職員などを対象にし、復興への足掛かりとなる情報を迅速に把握する手法を学んでもらう構想です。
国土交通省の資料によると、日本のドローン登録はことし9月末時点で約35万台を数えます。このうち災害時に出動することが想定されているドローンは極めて限られていると思われますが、災害大国・日本で今後、ドローンの役割が高まっていくことは間違いありません。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。
