ブリーダーズカップ・クラシック(G1)を制したフォーエバーヤングと喜びを表す坂井瑠星騎手 写真/スポーツ報知/アフロ
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(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)

ドジャース連覇に負けないフォーエバーヤングの勝利

 競馬の世界に携わる人々を描くテレビドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS日曜劇場)が10月からスタートしています。癖のある登場人物、会社経営者であり馬主の山王耕造役を佐藤浩市が巧みに演じていて、見ている者を飽きさせません。ただし、競馬界をあまり知らない人がこのドラマを見て、「馬主とはこんな人たちなのか」と思ってしまわないかと少々気にしてしまうところもありますが(苦笑)。

 また、劇中の「北陵ファーム」という生産牧場を、競馬界の頂点に立って久しい社台グループのノーザンファームと重ね合わせて見ている競馬ファンもきっと多いことでしょう。

 JRAの全面的なサポートを得ているとのことで、武豊騎手や戸崎圭太騎手など現役の騎手も登場、レースシーンはわざわざ番組のために競馬場を使用して撮影したり、CGを駆使するなどしているそうなので、それなりの臨場感も伝わってきます。競馬中継を行なっていないテレビ局にもかかわらず、その制作姿勢は意気に感じるところがあります。

 この番組について触れつつ、モデルのイメージが漂う人物のことを書こうと思っていた矢先、ビッグニュースが飛び込んできました。米国に遠征していた日本のダート王、フォーエバーヤング(JRA 矢作厩舎所属)が現地時刻11月1日(日本時間2日朝)、米国競馬の祭典「ブリーダーズカップ」最終日のメインレース「ブリーダーズカップ・クラシック(G1)」で優勝するという偉業を成し遂げたのです。

 ちょうどワールドシリーズのドジャース優勝と重なり、スポーツ紙の第1面は大谷と山本由伸に持っていかれてしまいましたが、一般紙でもその偉業が写真入りで大きく掲載されたように、ニュースバリューとしてはフォーエバーヤングのほうが勝っている、と私は思っています。

 フォーエバーヤングを管理する矢作芳人調教師が制覇後のインタビューで「サッカー日本代表がワールドカップで優勝したようなもの」と競馬に馴染みのない人にもわかるようなたとえで、その喜びと偉業を語っていました。まさに米国ではフランスの凱旋門賞に匹敵するほどの特別なレースなので、この馬の快挙には大きな拍手を送ります。