米国は同盟国だが、万能ではない
戦前との違いは明確だ。
かつての敵国・米国はいまや同盟国であり、日本の存続のカギはこの日米同盟にある。
だが、問題はその同盟の実効性だ。
現在の安保体制は「米国は日本を守るが、日本は米国を守らない」という一方通行の構図になっている。
この非対称性に対し、米国内では長年くすぶる不満がある。
特に「草の根の米国人」、すなわちトランプ氏を支持するMAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大にする)層の間には、日本は経済的には競争相手であり、真の同盟国ではないという認識が根強い。
自動車・家電の分野で日本企業が米市場を席巻し、米国の労働者が職を失った――この記憶はいまも米国社会に刻まれている。
MAGAを支える層が「なぜ日本を守らねばならないのか」という疑問を抱いたままでは、日米安保の実行力は絵に描いた餅に終わりかねない。
MAGAを実行するのは日本だ
高市首相がこの難局を突破するために掲げるべき旗印は明快である。
それは、「MAGAを実行するのは日本だ」という宣言だ。
日本の製造業は、今なお世界最高水準の技術力と生産性を誇る。日本が米国に投資し、工場を建設し、米国人を雇用する。
これは単に日本の経済拡大ではなく、米国の産業再建そのものである。
日本製鉄とUSスチールの連携に象徴されるように、日本の投資は「Made in America」を支える。
この「日米経済同盟」こそが、古い軍事同盟を超えて、新しい時代の真の日米パートナーシップを築く基礎となる。