10月21日、日経平均株価は一時5万円に迫るほど上昇した(写真:アフロ)
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(白木 久史:三井住友DSアセットマネジメント チーフグローバルストラテジスト)

「高市トレード」が勢いを増しています。日本維新の会(維新)の連立与党入りにより高市新総理の誕生が確実な状況となったことから、10月20日の東京株式市場は全面高の展開となり、日経平均株価(日経平均)は約3.37%上昇して史上最高値となる4万9185円50銭をつけ、21日には節目となる5万円に迫る場面も見られました。

 公明党の連立離脱などから一時は息切れするかに見えた「高市トレード」ですが、再加速を始めた背景には政局安定化への期待感だけでなく、維新との連立による様々な「化学反応」が影響している可能性があります。

再加速する「高市トレード」

「高市トレード」は積極的な財政政策や緩和的な金融政策を重視するとされる高市新総理の政策スタンスを映した「株高」と「円安」に代表されますが、高市新総理の政権基盤の弱さや、「インフレ対策」と「積極財政」という相反する政策に同時に取り組もうとする矛盾などから、総裁選直後からその政策実現性を不安視する向きは少なくありませんでした。

 また、一部の海外投資家が期待するような「アベノミクスの再現」については、当時と異なり現在の日本経済や日本株が比較的良好な状態にあるため、高市新総理の経済政策が経済や市場に大きなインパクトを与えるとする見方に懐疑的な向きも少なくなかったように思われます。

 こうした「高市トレード」の持続性やインパクトへの疑念に加え、公明党による突然の連立離脱もあって、「高市トレード」は一時、急速に勢いを失うこととなりました。しかし、維新による連立参加により状況は一変し、市場では再び「高市トレード」が勢いを増しているように見受けられます(図表1)。

 維新の連立政権参加は、高市新政権と「高市トレード」にどのような影響を与えることとなったのでしょうか。