維新との連立による「化学反応」

 維新の連立与党入りが株式市場に大きなインパクトを与えることとなったのは、与党が衆院で過半数を確保する見込みが立ったことに加え、維新が自民に突きつけた「連立入りのための政策条件」が大きかったのではないでしょうか。特に、「国会議員定数の削減」を連立の「絶対条件」とし、吉村代表が大々的にアピールしたことが大きかったように思われます。

 というのも、「他人の不幸は蜜の味」ということわざがある通り、人間の脳は他人の不幸を「報酬」として認識することが脳科学の世界でも定説となっていますが、国会議員という「勝ち組」が失職を余儀なくされる議員定数の削減は、広く支持を集める可能性が高いからです。

 議員の定数削減をテコに世論を味方につけた上で「身を切る改革」を進める政治手法は、大阪での成功体験に裏打ちされた維新の勝ちパターンです。そして、高市新政権もこれに倣うことにより、連立のための「維新の要求」という大義名分を振りかざすことで、党内外で抵抗が予想される政策であっても強引に進めることが可能になったように思われます。

 ガソリン減税や消費税減税といった経済政策、医療費削減による現役世代の社会保障負担の軽減、近隣の大国を念頭に置いた安全保障政策、そして、最近話題の外国人政策など、いずれも世論の関心が高いにもかかわらず、自公連立政権では実行が難しかったように思われます。しかし、公明党の連立離脱と維新の連立入りの結果、こうした政策の実現可能性が格段に高まってきたように思われます。

 今後、高市新政権はこうした世論の評判の良い政策を前面に打ち出し、実行していくことで、その支持が高まる可能性があります。そして、マーケットがこうした高市新政権をとりまく環境の急変を敏感に感じ取っていることが、足元で「高市トレード」を再加速させているように思われます。