日本企業で広がる特化型AIエージェント、一般向けは言語に壁
——日本の生成AIの使われ方は世界と比べてどうですか。
小林:企業での活用と一般ユーザーでの活用とで分けて考えると、企業ユースに関して言えば、最近は日本でも海外に見劣りしない使い方をしている企業が増えてきた印象です。
例えばレポート作成ひとつ取ってみても、単に生成AIに文章を書かせるだけではありません。社内の蓄積情報をAIに参照させ、そのデータに基づいてレポートを作成させるといった取り組みをしている企業もあります。自社内専用のAIエージェントを構築し、セキュリティが確保された環境で社内データを活用するという高度な試みに日本企業も積極的にチャレンジし始めています。
一方、一般消費者向けの利用に関しては、やはり日本語という言語の壁があるためか、飛び抜けてユニークな活用事例は今のところあまり耳にしません。
(イメージ:Tavarius/Shutterstock.com)
——AIエージェントも言語による違いはあるのでしょうか。
小林:はい。やはりAIエージェントにも言語の壁は存在します。先ほど例に出したスライド作成に強い中国発の「Manus」は、やはり中国語で操作したときに最も高い性能を発揮します。現在は英語での利用にも対応を進めていて、以前より英語での応答品質も向上してきましたが、日本語で使った場合には反応が少し鈍くなる印象です。
このように、まだ全てのエージェントがあらゆる言語に均等に対応できるわけではありません。
——日本企業が開発するAIはやはり日本語が最も得意なのでしょうか。
小林:そうですね。日本にも、日本語の扱いに長けたモデルやサービスを作ろうとしている企業がたくさんあります。日本の企業やユーザーのニーズに最適化されたAIエージェントが、今後登場してくる可能性も十分にあるでしょう。