考えなくても動くAI、カスタマイズで効率的に
——チャットボットとの違いでいうと、エージェントの方がより詳しい内容を出力してくれるということでしょうか。
小林:結果が詳しくなるという点もありますし、何よりユーザーが最初に細かい指示を考えなくても済むようになるということです。エージェントによっては途中で「もう少し細かく条件を指定してください」と追加の質問を投げてくるものもありますが、基本的には大まかな指示だけでAIが自動で計画を立て、レポートまで作ってくれます。
一方、これまでと同じレベルのレポートを得ようとしたら、人間のほうで最初に詳細なリサーチ計画をすべて考え、それをAIに指示する必要がありました。その手間を省いてくれるのがAIエージェントの特徴です。
——今まではプロンプト(AIへの指示文)をしっかりと書かないといけませんでしたが、エージェントならAIが自分で計画まで立ててくれるということですね。
小林:その通りです。ただ、実はAIチャットボットにもカスタマイズ機能といった形で事前に動作を調整できる仕組みはあります。ユーザーがあらかじめ設定を加えて動かす機能です。
例えば、ファクトチェックを自動でするメタプロンプトを用意しておくことも可能です。メタプロンプトとは、プロンプト(指示文)自体を生成するためのプロンプトです。
具体的には「入力された文章に含まれる数値や情報が事実かどうか確認せよ。その際、日本語だけでなく英語のWebサイトも調べ、情報源が見つかれば概要と参照リンクも提示せよ」といった指示をあらかじめ用意しておくイメージです。
こうしたカスタマイズ機能は、本来エージェントが行うはずの計画策定の一部をユーザーが明示的に指定しているようなものと言えます。エージェントに丸投げせず人間が細かく指示すれば、狙った通りの結果を得やすいという面もあります。