歴史の改竄に抗うゲン
その話を聞きながら、私は10年ほど前に、オランダの《アンネの家》を訪ねた時、アンネ・フランク財団が開いている説明会で、これまで『アンネの日記』は贋作だという説が、繰り返し湧き起ったことに対する強い危機感が語られたことを思い出した。
『アンネの日記』は、戦後に父親によって書かれた、や、使われたインクや紙が戦後に作られたもの、などとする荒唐無稽な陰謀論が、極右の活動家などによって何度も繰り返された。もちろん、そうした主張は裁判などを通してことごとく否定されている。
歴史を自分たちの都合のいいように修正したり、捻じ曲げたりするのは、どの国にも少なからず起こる動きである。しかし、歴史という事実を、歪曲するのなら、人は歴史から将来の教訓を学ぶことはできなくなる。
『はだしのゲン』がいまだに怒っているのは、そうした歴史と記憶の得手勝手で恥ずべき改竄であり、この映画はそうした動きに強い疑義を呈している。

『はだしのゲンはまだ怒っている』
11月より[東京]ポレポレ東中野、[広島]サロンシネマ、ほか全国順次公開
企画・監督・編集:込山正徳
プロデューサー:高橋良美 木村利香
共同プロデューサー:大島新 前田亜紀
制作:東京サウンド・プロダクション
制作協力:ネツゲン
宣伝協力:リガード
配給:アギィ
製作:BS12 トゥエルビ
公式サイト:https://gen-angry.jp/







