親の低年金は子供を苦しめる(写真:kakiko.K/イメージマート)
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Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例を通じてマネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」。今回は、年金生活をしている70代の母親へ仕送りをするために、家計の見直しの相談に来た40代独身女性のご相談事例です。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

 今回、相談にやってきたのは、会社員で40代女性のD子さん。D子さんには、70代のお母様がいらっしゃるのですが、お母様は、月5万円程度の年金とD子さんのお兄さんからの仕送りで暮らしていました。ところが、お兄さんが仕送りできない状況になり、D子さんが仕送りをすることに…。毎月7万円の仕送り代を捻出するために家計の見直し相談にやってきました。

仕送り代を捻出、なぜこんなことに…

 D子さんは大学卒業後に中堅メーカーに勤務。毎月の給料は手取りで35万円程度です。その中から7万円を仕送り代として捻出するのは、家計的には大変です。

 そこで、家計全体を見直すべく、支出を見える化し、なにを削減できるか一緒に整理しました。なんとか7万円を捻出できそうでしたが、趣味の旅行を我慢したり、貯蓄を減らしたりするなどの調整が必要になりました。

 これまで独身生活を謳歌してきただけに、趣味に使える金額を減らさなければならなくなってしまったD子さんはかなり落ち込んでいました。また、独身のD子さんにとって毎月の貯蓄額を減らすのも不安な様子でした。

 とはいえ、D子さんが学生のときに両親が離婚。女手ひとつで育ててくれたお母さんの力になりたいという思いも強いようでした。

 朗報なのは、お母様に仕送りをすることで、お母様をD子さんの扶養に入れることができ、D子さんの税金を安くすることができることです。同居しなくても、親に日常的に仕送りをするなど生計を一にしている場合で、親の年収が一定額以下である場合などには、親を扶養に入れることができます

実際には、親を扶養に入れることで、親の医療費や介護費などの負担が増えることもあり、必ずしもメリットばかりではないので、ご自身の状況に応じて判断してください。