黒ラブ教授はニュートン力学を極力説明せず、相対性理論について解説している(写真:I000s_pixels/shutterstock)
難解とされる相対性理論は「雑談」で伝えることができる。そう語るのは、黒ラブ教授(大学の先生芸人)だ。笑いを交えながら科学を語るスタイルは、科学嫌いな人にも門戸を開く。
科学と社会、そして政策との距離を縮めるための新しいアプローチについて、『雑談でわかる相対性理論』(マイナビ出版、著・黒ラブ教授、吉田尚記)を上梓した黒ラブ教授に話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター)
──吉本興業に所属するお笑い芸人でありながら、サイエンスコミュニケーターとして活動されています。仕事内容について教えてください。
黒ラブ教授:サイエンスコミュニケーターは、科学と社会をつなぐ役割を担う仕事です。専門的な知識を持ちつつ、それを専門外の人にもわかりやすく、正確かつ楽しく伝えることが求められます。「好奇心の火種」を渡す人でしょうか?
一般的には博物館の学芸員のようなイメージが近いと思います。加えて、科学に関わる事件や事故を一般の人にかみ砕いて解説する人もいます。サイエンスコミュニケーターのスタイルは多様です。
サイエンスコミュニケーターが、相手にする人の6~7割程度は、科学が嫌い、あるいは興味が薄い方々です。だからこそ、そうした人たちに科学の魅力を伝えることに大きな価値があると感じています。
──どのような経緯で、サイエンスコミュニケーターとお笑い芸人の二足のわらじを履くことになったのでしょうか。
黒ラブ教授:もともと科学好きで理系学科に進学しましたが、科学が好きなのに講義中に眠くなってしまう、という初めての経験をしました。そこで気付いたのは、大学の先生は、科学の内容をつまらなく伝える技術に長けている、ということです。
大学卒業後は吉本の養成所・NSCに入りコンビを組みましたが解散。その後、何か自分ならではのことができないか考えてみたときに、「理系漫談」というアイデアが浮かびました。
大学の講義内容は変えずに面白おかしく伝える技術で話せば、多くの人に興味を持ってもらえるのではないか、と考えてネタ作りを始めました。
