ピート・ヘグセス国防長官の執務室の名札を「戦争長官」にかけ替える職員(9月5日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

議会共和党は「戦争省」正式名称法案を提出

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 米国のドナルド・トランプ大統領は9月5日、ペンタゴンの愛称で知られてきた「国防総省」(Department of Defense)を「戦争省」(Department of War)に改称する大統領令に署名した。

Restoring the United States Department of War – The White House

 これは、1789年から1947年まで使われていた旧名称の復活である。

 トランプ政権当局者によると、この大統領令は「戦争省」を副次的な名称とし、連邦機関の正式な改称に必要な議会の承認を回避するものだという。

 ところが、トランプ氏の意を受けたのか分からないが、共和党の2議員が直ちに議会の承認を求める法案*1を提出した。副次的名称から正式改称にしようとする動きだ。

 法案を提出したのは、マイク・リー上院議員(共和党、ユタ州選出)とグレッグ・ステューブ下院議員(共和党、フロリダ州選出)。

 この法案が上下両院で可決・成立するには紆余曲折がありそうだ。

Rep. Steube and Sen. Lee Introduce Department of War Restoration Act – Congressman Steube

(提出された法案の全文はこちら

*1=法案は軍事委員会に付託され、委員会は調査、議論、修正を行った後、本会議に送付して採決に付す。法案は上下両院で過半数の賛成を得て可決されるが、上院では、反対派が議事妨害(フィリバスター)を用いて採決を遅らせたり阻止したりすることが可能であり、これを阻止するには議事終結投票(クローズチャー投票)による5分の3以上の多数(上院議員60人)が必要だ。

我々は目覚めることを決意し、改称した

 戦争省への変更を報じた英ガーディアン紙などによると、トランプ氏は、大統領令署名式でこう述べたという。

「我々は第1次世界大戦に勝利し、第2次世界大戦に勝利した。それ以前とその間のすべての戦争に勝利した」

「そして、我々は目覚めることを決意し、国防総省を戦争省に改称したのだ」

「以前の名称の方が軍事的勝利をよりよく反映しており、省の業務内容を誠実に表している」

「力と貿易への重点化が世界の米国における地位を向上させた」

 署名式に立ち会ったピート・ヘグセス国防長官(今後は戦争長官と呼ぶべきか)は、こう述べた。

「我々は防御だけでなく攻撃にも乗り出す。生ぬるい合法性ではなく最大限の殺傷力を持つ。政治的な正しさよりも暴力的な効果を追求する」

「我々は防衛だけでなく戦士を育成する。大統領閣下、米国がそうであったように、この戦争省は復活したのだ」

Trump signs executive order rebranding Pentagon as Department of War | Donald Trump | The Guardian

 国防総省のウエブサイト(defense.gov)を訪れると、すでに「戦争省」という名前になっており、ドメインも「war.gov」になっている。

 また、そのトップページには9月5日付のニュースとして「Trump Renames DOD to Department of War(トランプが国防総省を戦争省に名称変更した)」とある(9月8日時点)。

U.S. Department of War